MAFLD・MASHとは?

脂肪肝に関する新しい病名と最新の考え方

1. 脂肪肝とはどんな病気?

肝臓の細胞に中性脂肪が過剰にたまった状態を「脂肪肝」といいます。
肝臓全体の5%以上が脂肪になると脂肪肝と診断され、日本人の約3人に1人が該当するといわれています。
ほとんどの場合は自覚症状がなく、健診の血液検査や腹部超音波検査で初めて発見されます。

脂肪肝には「アルコール性」と「非アルコール性(MAFLD)」の2種類があり、現在は飲酒習慣のない方の脂肪肝が圧倒的に多く、肥満・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病との関係が深いことがわかっています。

2. 新しい病名:MAFLD と MASH

2020年以降、脂肪肝に関する病名が世界的に見直されました。

旧名称 新名称 意味
NAFLD
MAFLD(マッフルディ) 代謝機能障害に関連した脂肪肝疾患
NASH
MASH(マッシュ) 代謝機能障害に関連した脂肪性肝炎

「非アルコール性」という否定形の表現をやめ、「代謝の異常が根本にある」という病気の本質を名称に反映させた変更です。
飲酒の有無にかかわらず診断できる点も大きな改善点です。

3. MAFLD の診断基準

脂肪肝があり、かつ以下のうち1つ以上を満たす場合にMAFLDと診断されます。

  • 過体重・肥満
    BMI 23以上(アジア人基準)または腹部肥満がある
  • 2型糖尿病
    血糖値・HbA1cの異常、またはインスリン抵抗性がある
  • 代謝異常が2つ以上
    高血圧・脂質異常・高尿酸血症・炎症マーカー上昇などのうち2項目以上

以前のNAFLDは「飲酒をしていない」ことが診断条件でしたが、MAFLDは飲酒の有無を問わず、代謝異常があれば診断できます。

4. MASHとは(重症型の脂肪肝)

MAFLDのうち、脂肪がたまるだけでなく肝臓に「炎症」や「細胞の傷み」が加わった状態をMASHといいます。
MAFLDの約20〜30%がMASHに進展するとされています。

最大の問題は「症状がほとんどないにもかかわらず、線維化(肝臓の硬化)が静かに進む」ことです。
放置すると肝硬変・肝がんへ進行するリスクが高まるため、早期発見と継続的な管理が欠かせません。

5. 病気の進み方

段階 状態 説明
第1段階 MAFLD(脂肪肝) 自覚症状がほとんどなく健診で発見されることが多い。
生活習慣の改善で回復が期待できる。
第2段階 MASH(脂肪性肝炎) 炎症と細胞の傷みが加わった状態。
症状は乏しいが線維化が進み始める。
第3段階 肝線維化・肝硬変 肝臓が硬く縮んだ状態。
腹水・黄疸などの症状が現れることがある。
第4段階 肝細胞がん 肝硬変を背景に肝がんが発生するリスクが高まる。
定期検査が命綱。

すべての方が末期まで進行するわけではありません。早期の対処が経過を大きく左右します。

6. 検査・治療・日常生活

検査・診断

  • 血液検査(肝機能・代謝)
    AST・ALT・γ-GTP・血糖・HbA1c・中性脂肪などを確認します。
  • 腹部超音波(エコー)検査
    肝臓への脂肪沈着の程度を画像で調べます。
    痛みなく短時間で受けられます。
  • 肝硬度測定(エラストグラフィ)
    超音波で肝臓の硬さを測り、線維化の程度を評価します。
  • 肝生検
    確定診断が必要な場合に行います。
    組織を直接調べる最も確実な方法です。

治療・生活改善

  • 体重を5〜10%減らす
    最も効果的な治療です。脂肪・炎症の両方が改善します。
  • 食事の見直し
    精製糖質・飽和脂肪を控え、野菜・魚・大豆製品・オリーブオイルを意識して摂りましょう。
  • 運動を習慣にする
    週150分以上の有酸素運動が目標。
    筋トレも組み合わせると効果的です。
  • アルコールを控える・やめる
    飲酒は脂肪肝をさらに悪化させます。
  • 合併症の管理
    糖尿病・高血圧・脂質異常症の治療が進行抑制に直結します。
  • 薬物療法
    MASH治療薬の承認が進んでいます。
    担当医とご相談ください。

受診のご案内

MAFLD・MASHは、早期であれば生活習慣の改善で回復が期待できる病気です。
「健診で肝機能異常を指摘された」「脂肪肝と言われたが放置している」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
定期的な経過観察が肝臓を長く守ることにつながります。

竹内内科眼科クリニック
院長
竹内 司(たけうち つかさ)