高尿酸血症(痛風)とは?

尿酸値をコントロールして痛風・合併症を防ぐ

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版2022年追補版(日本痛風・尿酸核酸学会)準拠

1.高尿酸血症とはどんな病気?

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が基準値(7.0mg/dL)を超えた状態です。尿酸はプリン体という物質が体内で分解されてできる老廃物で、通常は腎臓から尿として排泄されます。しかし尿酸が過剰に産生されたり、排泄がうまくいかないと血液中に蓄積し、高尿酸血症となります。

日本では痛風患者数は約125万人、高尿酸血症の患者数は約1,000万人と推計されています。かつては「贅沢病」とも呼ばれていましたが、現在は生活習慣病として幅広い年代の方に見られます。男性に圧倒的に多く(男女比約5〜10:1)、30〜50代に多く発症します。

尿酸値が高いだけでは自覚症状がほとんどありません。しかし放置すると痛風発作・尿路結石・腎臓病、さらには心血管疾患のリスクが高まります。健診で尿酸値が高いと指摘されたら、早めに対処することが大切です。

2.診断基準と高尿酸血症の種類

診断基準 定義 ポイント
尿酸値 7.0mg/dL 超 高尿酸血症と診断されます。症状の有無に関わらず、この値を超えると診断の対象となります 7.0mg/dL以下でも痛風発作が起きることがあります。また7.0mg/dLを超えても症状がない場合(無症候性高尿酸血症)もあります

高尿酸血症は尿酸の産生・排泄のバランスの乱れ方によって3種類に分類されます。

タイプ 原因 生活改善のポイント
尿酸産生過剰型 体内でのプリン体産生が多い。
プリン体の多い食品・アルコールの過剰摂取が誘因
プリン体の多い食品を控える。
アルコールを減らす
尿酸排泄低下型(最多) 腎臓からの尿酸排泄が低下している。
日本人に最も多いタイプ(約60〜70%)
水分を十分摂る。
腎機能を守る生活を心がける
混合型 産生過剰と排泄低下の両方が合わさっている 食事・飲酒・水分摂取の総合的な改善が必要

3.痛風発作とはどんな症状?

尿酸が関節内で針状の結晶(尿酸塩結晶)となって析出し、白血球がこれを異物として攻撃することで激烈な炎症が起きます。これが「痛風発作(急性痛風関節炎)」です。

突然の激痛 (夜間〜早朝に多い) 関節の赤み・腫れ・熱感 生好発部位は足の親指の付け根 (第1中足趾節関節)
足首・膝・手首なども起こりうる 痛みは1〜2週間で自然に治まる 発作を繰り返すと慢性化する

発作中は安静にして患部を冷やしましょう。痛みが非常に強い場合はすぐに受診してください。発作中に尿酸降下薬を急に始めると発作が悪化することがあるため、発作が収まってから治療を開始・調整します。

4.放置するとどうなるのか(合併症)

合併症 しくみ・特徴 注意点
痛風発作の慢性化・痛風結節 尿酸塩結晶が関節・皮下組織に蓄積。
耳介・関節周囲に白いコブ(痛風結節)ができる
尿酸値を6.0mg/dL以下にすると結節が縮小する
(ガイドライン推奨)
尿路結石 尿中に尿酸が析出して石になる。
激しい腰〜背中の痛みが起こる
十分な水分摂取と尿のアルカリ化が予防に有効
腎臓病(痛風腎) 長期間の高尿酸血症が腎臓の機能を徐々に低下させる 慢性腎臓病(CKD)の重要な合併症。
尿酸降下薬で腎保護効果
(ガイドライン推奨)
心血管疾患 高尿酸血症は動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中のリスク因子となる可能性が示唆されている
(2020年循環器病対策推進基本計画に記載)
高血圧・糖尿病・脂質異常症との合併が多く、総合的な管理が重要

5.治療目標(ガイドライン2022追補版)

治療の目標は血清尿酸値を6.0mg/dL以下に維持することです。ただし薬物療法の開始基準は、症状の有無や合併症によって異なります。

対象 薬物療法開始の目安 治療目標
痛風発作がある (症候性高尿酸血症) 発作収束後、尿酸値にかかわらず開始を検討 尿酸値 6.0mg/dL 以下
(1ヶ月あたり1.0mg/dL以内の緩やかな降下が推奨
無症候性高尿酸血症 (痛風発作なし)
腎障害・高血圧・心血管疾患などの合併症あり
尿酸値 8.0mg/dL 以上から薬物療法を検討 尿酸値 6.0mg/dL 以下
無症候性高尿酸血症 (痛風発作なし)
合併症なし
尿酸値 9.0mg/dL 以上から薬物療法を検討
(9.0mg/dL未満は生活習慣の改善を優先)
尿酸値 6.0mg/dL 以下
痛風結節がある場合 積極的に薬物療法を開始 尿酸値 5.0mg/dL 以下
(より厳格な管理)

6.治療 生活習慣の改善と薬物療法

生活習慣の改善(すべての高尿酸血症の基本)

  • プリン体の多い食品を控える
    レバー・白子・乾燥魚介類(干し椎茸・煮干し・かつお節)・魚介類(あん肝・いくら)などは控えめにしましょう。ただし食事だけで尿酸値を大きく下げることは難しく、生活習慣改善は薬との組み合わせが重要です。
  • アルコールを減らす
    アルコールは尿酸の産生を増やし、排泄を妨げます。特にビール・発泡酒はプリン体が多いため要注意。日本酒・焼酎・ウイスキーもプリン体は少ないですがアルコールそのものが問題です。
  • 水分を十分に摂る
    1日2,000mL以上の尿量を保つことで尿酸の排泄を促します。水・麦茶・牛乳などが推奨。果糖を多く含む清涼飲料水(ジュース)は尿酸産生を増やすため避けましょう。
  • 適度な運動と適正体重の維持
    肥満は高尿酸血症のリスクです。有酸素運動(ウォーキングなど)を習慣にしましょう。ただし激しい無酸素運動は一時的に尿酸値を上げるため注意が必要です。
  • ストレスを減らす
    精神的・身体的ストレスは尿酸値を上昇させます。十分な睡眠と休息を心がけましょう。

薬物療法

尿酸値の下げ方によって2種類の薬に分かれます。病態(産生過剰型か排泄低下型か)に応じて選択します。

薬の種類 働き・代表薬 適した病態
尿酸生成抑制薬 プリン体から尿酸が作られるのを酵素レベルで阻害する。
代表薬:アロプリノール・フェブキソスタット・トピロキソスタット
尿酸産生過剰型・混合型。
腎障害がある方にも使いやすい
尿酸排泄促進薬 腎臓での尿酸再吸収を抑制し尿への排泄を増やす。
代表薬:ベンズブロマロン・ドチヌラド(SURI・2020年承認の新薬)
尿酸排泄低下型。
尿路結石・腎障害がある方は慎重に使用
痛風発作の治療薬 ・NSAIDs(消炎鎮痛薬):発作の痛みを抑える
・コルヒチン:発作の予防・初期の炎症抑制
・ステロイド:NSAIDsが使いにくい場合に使用
急性痛風発作時。
尿酸降下薬との同時開始は避け、発作が落ち着いてから降下薬を調整

7.日常生活での注意点

  • 尿酸値の定期的な確認
    目標値(6.0mg/dL以下)を維持できているか、3ヶ月ごとの血液検査で確認しましょう。自覚症状がなくても検査継続が重要です。
  • 薬を自己判断で中止しない
    尿酸値が正常化しても薬の効果で下がっている場合がほとんどです。急に中止すると発作が起きやすくなります。
  • 腎機能・血圧・血糖の管理も合わせて
    高尿酸血症は高血圧・糖尿病・脂質異常症・慢性腎臓病を合併することが多く、これらの総合的な管理が大切です。
  • 尿をアルカリ化する工夫
    尿が酸性だと尿路結石ができやすくなります。野菜・海藻・乳製品など尿をアルカリ化する食品を積極的に摂りましょう。クエン酸カリウム(ウラリット)が処方されることもあります。

受診のご案内

「健診で尿酸値が高いと言われた」「以前に痛風発作を起こしたことがある」「足の親指が急に腫れて痛い」という方は、お気軽にご相談ください。痛風・高尿酸血症は、適切な管理で発作を防ぎ、合併症のリスクを下げることができます。